プロトン伝導型SOFC

「固体酸化物燃料電池新規電解質の開発」

 当固体酸化物燃料電池(SOFC)は燃料電池の中で最も発電効率が高く、地球温暖化抑制技術として注目を集めている。SOFCには大きく分けて酸化物イオン伝導型(O2-)とプロトン伝導型(H+)の2種類が存在している。両者を比較すると(図1)[1]、プロトン伝導型の方は発電に伴うH2Oの生成は空気極側で起こるため、空気極側の酸素利用率を低下させることで、高い燃料利用率の時でも起電力を高く保つことができる。したがって、プロトン伝導型を用いた方が高出力密度と高燃料利用率での発電が原理的に可能である。そこで、私たちはプロトン伝導型SOFCの電解質となり得る、優れたプロトン伝導性を示す酸化物材料の開発を進めている。

酸化物イオン伝導型とプロトン伝導型の比較

図1 酸化物イオン伝導型とプロトン伝導型の比較

1981年、Iwaharaらによってペロブスカイト型酸化物SrCeO3が中温領域において高いプロトン伝導性を示すことが確認された[2]。その後、様々なペロブスカイト型酸化物がプロトン伝導性を有することが報告されている[3]。ペロブスカイト構造には、ダブルペロブスカイト構造、Brownmillerite 構造、Ruddelsden-Poppe構造など様々な関連構造が存在する。私たちは、優れたプロトン伝導性を持つ材料が存在すると予想されるペロブスカイトの関連構造について注目し、新規プロトン伝導体の開発を進めている。

1. H. Shimada, X. Li, A. Hagiwara, and M. Ihara, J. Electrochem. Soc., 160 (6) F597-F607 (2013)
2. H. Iwahara, T. Esaka, H. Uchida, N. Maeda, Solid State Ionics, 3-4, 359-363, (1981).
3. H. Iwahara, Solid State Ionics, 86-88, 9 (1996).