大河内研究室 Okochi Laboratory | 東京工業大学 物質理工学院 応用化学系

研究内容 / Research

化学および工学的な視点から生物機能のシステム解析につながるバイオセンシング法の開発と応用について進めている。生体反応は、生体分子の相互作用による多段階反応により進行し、その機能情報解析は細胞や生体の機能制御において重要となる。ペプチドアレイを用いて抗体などの相互作用解析を進めることにより分子メカニズムを解明し、健康、医療、食品、環境分野への展開を目指している。

研究テーマ / Themes

ペプチド工学
Peptide Engineering

ペプチドは、アミノ酸がペプチド結合した分子であるが、多彩な生理機能を有し、生命現象を支える機能を担っている。生体の情報伝達・制御系に関わる生理活性ペプチドは、創薬ターゲットとしての展開が進められている他、ナノ機能性材料としても注目されている。固相合成を利用したon chip spot合成法によりペプチドアレイを作製し、抗体認識ペプチドなどをはじめ、様々な機能性ペプチドの探索に取り組んでいる。

食物アレルギーに関与する抗体エピトープ解析
Epitopea Analysis

小児食物アレルギーに着目し、ペプチドマイクロアレイを用いた抗体エピトープ解析によるアレルギー検査法の開発について進めている。食物アレルギーの中でもミルクに着目し、牛乳に含まれる全タンパク質のアミノ酸配列を基にペプチドプローブをスライドグラス上に結合したミルク網羅ペプチドアレイを作製した。少量の血清(10μL)を用いたアッセイが可能となったことから、臨床医の先生方やその患者さんのご協力により、多数の牛乳アレルギー患者血清を解析し、IgE抗体の結合特性を詳細に調べることで、抗原の確定のみならず、その病態や治療経過の把握に有効であると示唆され、アレルギー発症や寛解機序の解明にも寄与する解析法として期待している。

電気化学殺菌・防汚
Electrochemical Sterilization

定電位1Vの印加により微生物を殺菌できることから、電気化学防汚システムの開発を進めている。微生物は固液界面でバイオフィルムを形成する。電気化学殺菌を利用してバイオフィルムの形成を防止することにより、海洋構造物への生物付着を抑制できることを実証している。