エンジニアも黙って仕事ができればいいという時代はとうに過ぎた。 仕事を始める前の企画説明と,仕事の結果報告の,初めと終わりのプレゼンテーション次第で,仕事の実現可能性と自分の評価が左右される。
文化系の学生はプレゼンが半分専門であり ,訓練もよくされている。文化系にまけるな!
原稿棒読みの発表はもはや時代遅れ。会場内とスクリーンを交互にみて ,自信タップリに講演しよう。
こうやってほしい |
これはやめよう |
幸いWeb上にはプレゼンテーションに関するすばらしい解説ページがあります。以下を参考にしましょう。
鳴門教育大学 島宗先生の 研究発表マニュアル[口頭発表編]
同志社大学 藤本先生の ≪若きエンジニア・エンジニアの卵諸君≫
(参考)論文作成に役立つリンク集
松井剛さん(一橋大学)
市民のための情報収集法 宮内泰介さん(北大)
発表要旨や論文の書き方
発表題名: デンドリマーによる金ナノクラスタ(AgC)の合成と光学特性 を例として
1.はじめに 緒言(ちょげん) 緒言(しょげん)
1.1 題材の紹介
AgCは優れた光学特性と生体適合性を持つので,バイオセンサーに応用されている。
1.2 問題点
AgCの作成法は多く報告されているが,クラスタの大きさの調整が困難である。
1.3 解決法,アイデア
この問題を解決するには分子量が一定の材料からAgCを作成するのがよい。デンドリマーは世代により分子量を制御できる高分子である。
1.4 本研究の目的(解決法の実現)
本研究では大きさを制御したAgCの作成を目的として,各世代のデンドリマーからAgCを合成した。作成したAgCの光学的特性を評価した。
2.実験方法
(材料関係)2.1 使う材料
使用した試薬は である。いずれも和光(Aldrich?)の特級gradeを使用した。
2.2 処理手順,処理内容
AとBを100℃,3時間油浴中,不活性ガス下で反応させる。生成物を溶媒抽出で抽出後,乾燥して固体生成物を得た。
2.3 試験方法・分析方法
得られた試料について,蛍光光度の測定および, 測定をおこなった。
(プロセス関係)2.1 実験方法 使う材料
TEG液体膜を含浸法で作成した。
2.2 実験装置(静的)
実験装置を図1に示す。装置は , ,からなる。
2.3 試験方法・測定法(動的)
温度を変えて透過速度を測定した。
3.結果及び考察 (以下の「図の説明」の繰り返し)
スライド(図)の説明はパターン化されている
【スライドの紹介】 | 〜についての実験結果を示します。 次にこの結果を他の方法と比較します。 このデータについて〜を調べてみます。 〜するためには〜を明らかにする必要があります。そこで・・ |
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【図の題名】 | この図が〜について〜を示したものです。 | |
【軸、パラメータ、キイ】 |
縦軸が〜で、横軸が〜です。記号は〜が〜で、〜が〜です。 これらの実験条件は〜です。 |
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【具体的にひとこと】 | 例えば供給空気湿度70%のとき、出口湿度が12%まで除湿されました。 | |
【データの全体の傾向】 | 高湿度範囲で除湿性能が大きくなっています。 多少ばらついていますが、データ全体としては〜という傾向がみられます。 |
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【パラメータの影響】 | また、〜が変わることによって〜という傾向があります。 検討したなかでは〜が最もよい性能が得られました。 |
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【理論との比較】 | 実線が理論値ですが、データの傾向をほぼあらわしています。 | |
【結言(この図で主張したいこと)】 | このように、〜のとき〜であることがわかりました。 〜は予想どうり実用上十分な分離性能があることがわかりました。 提案したモデルはこのプロセスの性能を精度よく予測できたので、 今後のプロセス設計の基礎とできることがわかりました |
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【次のスライドの紹介】 | 同様の検討を〜について行ってみます。 しかし、〜では不十分でした。そこで・・・ |
4.結論
(本研究の目的)を繰り返した上で(3.結果)のいくつかを述べる。
これだけは知っておけ - PowerPointはキー操作で -
パソコン画面の出力切り替え法も確認しておきましょう。(たいてい[Fn]+[F3])
その他のメモ
○ 司会者が題名と発表者を紹介するので,2重に「(題名)について発表します」と開始するのはやめよう。司会を無視していることになる。いきなり緒言でよい。(しかし「緒言です」もよくない。)
○ 準備不足の場合は,原稿を読む方がスムーズに発表できる場合もあるので,それでもよい。(スライドに原稿を小さく書いておく強者もいる。)原稿を読む場合,書いた文章そのままでは聞き取りにくいし,文が長すぎる。文を短くするなどの工夫が必要。
○ 「わかりにくさ」の大半は言っている用語の定義が聴衆に伝わっていないことから来る。特に「濃度」,「速度」,「密度」など基本量の使用に注意。「液濃度」,「膜面流速」,「バルク密度」など研究室内でしか通用しない符丁を使っていないか。用語の定義を要旨に明記する,発表中繰り返すなどして聴衆にわかってもらう工夫をしましょう。