「マグデブルグ夏の学校‘99」の感想         
赤川


 「マグデブルグ夏の学校」ヘ参加する前、友人・知人にこのことを話すと必ずといっていいほどドイツの食事と言えばビールとソーセージだという。かく言う私もそのように考えていたが、ふと私の中にある疑問が浮かんだ。はて、ドイツ料理? フランス・イタリア料理などは有名であるし、イギリスの料理は別の意味で有名であるらしい。しかしドイツ料理というものはほとんど聞いたことがない。ソーセージは有名ではあるがドイツ料理というものではない気がする。そこで私はソーセージ以外のドイツ料理とはどんなものか求める為、さらにはドイツ料理のなんたるかを5人しかいないわが研究室に知らしめるためにドイツへ向かった。

始めてのドイツでの食事はユースホステルでの朝食だった。様々な種類のハム・チーズ、ごく少量の野菜、拳大のパンが並べられていて、解説の坂本先生の指導によりとてもおいしくいただけた。特にパンが美味であり、帰国後も時たま思い出してあのパンが食べたくなるほどである。この時このような食事がドイツでの朝食・夕食の一般的な形であることを知る。このような食事はドイツ人に言わせると「冷たい食事」ということらしい。美味いには美味いのだがこれは簡素な食事の部類に入るだろう。私の想像していた何かしら調理されている料理は昼食にしかでないということもこの時知った。

 昼食での大きな皿にのっていたものはメインとなる肉料理と少量の野菜と付け合わせである。シンプルなものは野菜と付け合わせのジャガイモを蒸かしたものだけであり、他のものはいろいろと手間暇かけた料理のようであった。特に、わざわざジャガイモをつぶし、何者かと混ぜ合わせてまたジャガイモの形に戻したものは“ジャガイモもどき”と呼ばれ、誰も名前を聞かなかった紫色の付け合わせ・ザワークラフトとともにドイツ3大珍味としてドイツ人は加工好きなんだなと思い知らされた忘れられないものとなった。外国人が納豆や梅干し・漬物を食べるとこのようなどこかアンニュイな気持ちになるのだろうか。

結果として私の中でのドイツ料理の評価はあまり高くない。肉などのメイン料理はなかなか良かった気がするがあまりに3大珍味の思い出が大きすぎてドイツ料理というとそれらの味が思い出されてしまう。まあ、去年日本に来たドイツ人の学生に話を聞いたところみそ汁が飲めなかったという人もいたのでやはりこれが食文化の違いというものだろう。また、朝・昼・晩と食事が用意されていることもありゲストハウスでの食事しか知らないと言っても過言ではない。ホームステイ先でも昼食はイタリア料理やなぜかギリシャ料理をご馳走になってしまった。そのため私の中でドイツ料理=3大珍味という公式が成り立ってしまい、帰国後に親や友人に「ドイツ料理ってどんなの?」と聞かれても何かあいまいに「ビールとソーセージが安くてうまかった」などとドイツに行ったことのない人でもできる答えしか返せないのが非常に無念であった。我々の研究室にドイツ料理はどんなものか知らしめるのは再来年に期待しようと思う。